【2】  産卵はまだですか?   姫路市立水族館 淡水ガメ担当の飼育係さんのお話 
 

2002.5.18 11:01 晴れ時々曇り 沼ガメの産卵場

 
12〜3匹の沼ガメが、産卵場でそれぞれに忙しい。
(個体数を確定できないのは、お池へ移動中のカメ、
 産卵場へ上陸中のカメ、相乱れているから。)

A(アカミミガメ)=産卵のための穴掘り初期段階

B(アカミミガメ)=産卵のための穴掘り終盤

C(アカミミガメ)=産卵後の穴の埋め戻し・整地中

BとCの後方の小さな赤い三角旗は、
巡回に来た飼育係さんが目印に立てていったもの。
産卵後にそこを掘り返して一腹分の卵を取り出し、
孵化場に移す。       

D(イシガメ)=ABCを頂点とする三角地帯の中を行きつ戻りつ〜鼻先を地面にこすりつけるような仕草をする。
         時々四肢で地面を掻き均す。(ちょうど↑の画像がそれをやってるところ。まるで平泳ぎ!)
         そしてまた徘徊してからお池へ戻り〜しばらくして〜また産卵場へ上陸。
         これを3回繰り返した。
         いつその気になって穴掘りを始めるのか期待させられたが、
         結局この時は、正午頃まで何事も起こらなかった。
 
正午前、C(アカミミガメ)の卵を掘り出しに戻ってきた飼育係さんとのQ&A
 
Q1:今シーズン、イシガメの産卵はまだですか?
   アカミミガメの産卵が、例年よりも10日間ぐらい早かったようなので、イシガメはどうかなと思いまして〜。

A1:まだですねぇ。・・・・あっ!二腹分、産卵してますねぇ。(記録台帳を見て)
   でもまだまだですよ〜。
   ご覧の通り、産みたそうにはしますが、人の気配とかあるとイシガメは難しいです。
   最盛期の6月〜7月になったら、そんな流暢なことは言ってられなくなるから産むでしょうが。
   イシガメの産卵は〜なかなか〜ムゥ〜ン、、、ですね。

Q2:クサガメはどうですか?

A2:産卵開始の時期は、大体、アカミミガメ、イシガメ、クサガメの順です。
   だからまだです。
   最終産卵確認は、例年、イシガメが最も早く7月中旬頃にほぼ終わり、次いでクサガメが7月下旬、
   アカミミガメが8月上旬頃産卵を終了します。
   つまりイシガメが一番産卵期間が短いってことです。

Q3:孵化するまでの期間にも違いがあるんですか?

A3:産卵した月にもよりますが(卵の周囲の温度が違うから)、
   ハイダシ(砂の中で卵の殻を破って孵り、何日か経って地表に這い出してくること)までの日数は
   イシガメが55〜60日くらい、アカミミガメはイシガメよりも一ヶ月近くも長い。
   クサガメはその中間くらいでしょう。
   みんながみんなその年のうちにハイダシて来るんじゃなくて、クサガメやアカミミガメは次の年の春に
   ハイダシって来る個体もいます。
   でもここでは、イシガメは10月までにすべての子ガメが出てきます。

Q4:じゃぁ冬越しするのにもイシガメの子は大変ですね。
   それで自然界ではイシガメ同士集まって冬眠するんでしょうか?
  
 (みんなで寄り添うようなイメージが頭にあるので、、、寄り添って温かいとも思えぬが。)

A4:だからかどうか分かりませんが〜イシガメの子は他に比べると成長速度が速いです。
   少しでも大きくなって体力をつけて冬を越そうするような何かが備わっているのかもしれません。
   イシガメが集まって冬眠するのは、交尾のための都合上と考えられます。
   元々カメは群れません。 
   普段は1匹1匹で生きています。
   自然界の子ガメはどうやって冬越ししてるんでしょうね〜?

Q5:アカミミガメみたいな図太さがないから、こんな閉鎖環境はイシガメにはかなりキツイんじゃないでしょうか?

A5:そうですね。
   元々山間部の清流に単独で住むカメですから、イシガメにはこの環境はストレスが多いと思います。
   種の分類的には【イシガメ・クサガメ】(バタグールガメ科)と【アカミミガメ】(ヌマガメ科)なんですが、
   生態的には【イシガメ】と【クサガメ・アカミミガメ】って頭の中では分類してしまいますね。
   そのくらい別のものだという認識があります。

Q6:イシガメの産卵・孵化数が減ってきているのは、どんな要因が考えられますか?
   以前、この池には地下水が使われていたけど、現在は館内を回ってきた飼育水。
   そんなことも関係してますか?

A6:要因はいろいろあるでしょうが、館内と同じ飼育水だと夏場でも25℃キープしてますから
   水温ではそれほど抑制がかかってないと思われます。 
(因みに、館長さんは、この点を疑問視していた。)
   『抑制』というのは、プラスの成長を阻むとの意味です。
   適当な表現がないんで使いましたが、一般的な学術表現ではありません。
   多種多頭飼いのストレスの方がよっぽど抑制がかかります。
   またこの池では近親交配がかなり進んでますから〜遺伝子レベルでの抑制もかかるでしょう。
   ウンキュウなんか自然界では考えられない確率で出まくりですもんね。
   卵自体、孵化に至るまでにいろんな抑制を受けてきます。
   全部が全部孵っていたら〜世の中カメだらけで異常なことですから、
(あぁ〜、そんな天国を見てみたいー!)
   淘汰されるのが自然なことでしょう。
   そうゆう洗礼を受けて生き残れる個体が繁栄できるのが自然の摂理です。

Q7:でもですねぇ、カメを飼育してる者としては、我が家のカメは健康ですくすくと育って欲しいから
   その抑制がかからないようにあの手この手を尽くして必死なんですよ。
   飼育環境・エサ・・・良いと聞けばなんでもやってみようと試みますが、なかなか思うようにはいきません。
   なぜなんでしょうね?

A7:ここでも良かれと思ってやってることのうち、結果が上手くいったなんて10のうち1つあればまだいい方です。
   ほんとに失敗の連続です。
   なんか〜やればやるほど〜手をかければかけるほど〜上手くいかなくなる。(笑)
   個体に備わった力をじぃーーーーーーっと観察すること、ひたすら辛抱強く〜じぃーーーーーーーーーっと。
   触りたくてもぐっとこらえて、あるがままの姿を観察すること、これに尽きますわ。
   
(あぁ〜、そりゃぁ〜出来ない相談だぁ〜〜〜〜〜(>_<) )
   もし、抑制がかからないようにと手をかけるんなら、カメは波のある暮らしが苦手な生き物なんで、
   かけた手を弛めずに徹底的に同じ世話を貫き通すことです。
   止めたら途端に元に返ってしまいますよ〜。
   
(あぁ〜、それも難しい相談だなぁ〜、お世話係の体力&知力&財力でかなり抑制がかかるぅ〜。(>_<)  )

Q8:とにかく、イシガメの産卵が見たいです。
   いつとは分からないんですよね〜?

A8:はい、難しいご注文ですね〜、幸運を祈ります。

 

「抑制がかかる」とゆぅ生き物の見方について、少なからず考えさせられた。
成育に抑制がかかることは、愛亀可愛やの飼い主としてはマイナスだと思えて、その阻止に躍起になるのだが、
より強いDNAだけが生き延びて行ける強運を与えられる自然界の摂理からすれば、
全く逆行する空しい努力のように思われてしまう。
だからといって、今更〜「たくましく生きろ!」と突き放すなんてできるはずもない。
どこまで成育のお手伝いができるのか、どんなことを陰ながらやってやれるのか、どれだけ我慢してカメに沿ってやれるのか、
あぁ〜益々あの手この手を考えてしまう。

健やかに育つことは並大抵じゃないんだね。 人間の子育てと一緒だなぁ〜。

 

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